病気の治療法は、 原因療法に勝るものはありません。しかし、慢性腎臓病は、もともと、原因を問わない進行性の腎機能低下を示す疾患の総称ですので、 原因療法が存在しません。もし、慢性腎臓病でも、原因が判明しているのであれば、その原因を除去する治療が最適です。

では、猫の慢性腎臓病では何が起こっているのでしょうか?

猫の慢性腎臓病は、圧倒的に「慢性尿細管間質性腎炎」に由来します。

慢性の尿細管間質性腎炎
初期に損傷を受けた尿細管細胞からは様々なサイトカインが放出され、 損傷部位で局所的に線維化が進行します。
線維化が多くの腎周囲間質組織で起こると、線維化が腎尿細管を外側から圧迫します。
この時期になって初めて糸球体濾過量(GFR)が低下してくることになるのです。
したがって、慢性尿細管間質性腎炎の治療では、この線維化を止めることが非常に重要となってきます。

尿細管間質性腎炎
・慢性尿細管間質性腎炎は様々な原因で発症し、尿細管細胞の損傷により炎症が起こり、炎症が間質(尿細管の周りの組織)に向かって広がる。
・炎症はGFR(糸球体濾過量)を低下させずに広がり、尿細管機能不全から始まる。
・炎症は間質の線維化を引き起こし、線維が周囲から尿細管を圧迫した場合にのみ、GFR(糸球体濾過量)の低下が観察されます。 明確な臨床症状を示さない場合が多いため、その存在が見逃されたり、発見が遅れたりする。

尿細管間質性腎炎の原因
原発性(初期段階で糸球体や血管の病変に乏しい)

  1. 感染症(腎盂腎炎、全身性感染)
  2. 免疫関連(抗尿細管基底膜抗体、 SLE、 特発性など)
  3. アレルギー・腎毒素(抗菌薬、NSAIDs、利尿薬、シスプラチンン、シクロスポリン、アルカロイドなど)
  4. 重金属(鉛、カドミウム、水銀など)
  5. 血液疾患(多発性骨髄腫、アミロイドーシスなど)
  6. 代謝性(高Ca血症、シスチン症、高シュウ酸尿症など)
  7. 嚢胞性疾患
  8. 閉塞性尿路疾患
  9. 逆流性腎症
  10. その他(放射線腎障害など)

慢性腎疾患の予後
病理学的に糸球体障害より、尿細管間質の線維化と強く相関します。